「マンション再生」

「マンション建替え」のブログです。マンション建替事業に関わって、17年。経験してきたこと。今、思うこと。考えなければならないこと。タイムリーな話題。発信していきます。

都内某区からマンションの管理状況調査の依頼がマンション管理士会経由で来る。
ここの所、連日。

小規模、管理組合の実態なし。永年に亘り、一人の手に管理が委ねられ、その人の考えの下に管理が進められていたマンション。

その人たちは別に他の区分所有者から委託料を受けていたわけではない。全くの善意から進めていたこと。管理費圧縮と長期的視野の欠如で、目先の修繕に追われながら、業務を進めてきた。他の区分所有者は煩わしいことは任せきり。

時がたてば、管理を担っていた人も年を取り、次の世代に移る。そのときに、実態が明らかになる。大規模修繕ができない。排水管の寿命で水漏れが発生しても、管の更新はできない。

次の世代はとんでもないものを背負わされることになる。

連日調査したマンションの実態。一つはその予備軍。もう一つのマンションはその果てで、相続人がただ同然で地元不動産屋に手放し、地元不動産屋の手で、マンション再建案として修繕費用の見積もりが出されたらしいが、他の区分所有者がその負担を拒否。

結局、地元不動産屋が他の区分所有者への買収が進められた。マンションは解体して、戸建て分譲されるらしい。

このように、不動産デベロッパーが入れるような案件であれば、管理不全マンションは結局のところ、発生はしない。でも、そんな良い条件のところばかりではない。

永年、再開発や建替え現場を担っていたころはわからなかったが、今、マンション調査をすると、そういったことができないマンションがいかに多いのかがわかってくる。

人任せの付けは次の世代が負わなければならない。今、日本のあらゆる問題の解決案は次の世代への付け回しである。オリンピック開催費用、コロナ禍の休業補償しかり。

若い人への批判をしながら、若い人の将来をつぶしていく、断崖の世代達。マンション再生問題は今の日本のあらゆる問題の縮図といえる。

そんなことを考え、再開発、建替えの機運があるところはどんなに恵まれていることなのかということをしっかりと伝えていくことは自分の仕事のひとつなのだと感じている。
そして、そんな話が出る可能性がないところについて、どのようにしたらよいのか本格的に考えなければならない。


マンション内の管理人室や集会室は誰のものなのでしょう。1983年以降のマンションでは、階段、廊下、躯体と同様に共用部分として、マンション区分所有者のものとして、規約共用部分として、登記されています。

 

なぜ、わざわざ、そのようなことをしなければならないのかと言いますと、管理人室や集会室は、本来、構造上は専有部分として扱わなければいけないものだからです。専有部分は区分所有権の目的となってしまいます。

 

そこで、規約共用とすることで、それ自身が単独で売買などの権利移転の対象とはならなくなります。本来の専有部が売買などで権利が移転した場合には、区分所有権に付随して、法定共用部といっしょに、使用する権利が付随して移転されるということになります。

 

しかし、昭和58年以前は、規約共用部分の登記をする為には、分譲後に区分所有者全員一致の決議をし、さらに全員の印鑑証明書が必要であった為に、昭和58年以前のマンションでは、管理人室や集会所など、以下のような処理がなされていました。

 

 1. 専有部として、区分所有者全員で所有(登記)

 2. 専有部として、分譲業者が所有(登記)

 3. 未登記

 

現在では、次のような問題が発生しています。

1. マンションの売買が発生したときに管理室の所有権の売買、移転登記を忘れてしまう。

2. 分譲業者の倒産等で管理室の権利移転が生じる等、争いが多発。

3. 権利保全するために管理組合法人を設立し、登記する

 

マンション建替えを進める場合は

1. 残された権利者を探索し、真正の権利者への移転に協力してもらう等の途方もない作業をしなければなりません。

2. 土地の使用権のない権利者です。建物を壊してしまえば権利はなくなりますので、まずは同意することはないので、交渉しなければなりません。

3. 管理人室を権利として評価するということになります(あまり意味はありませんが・・・)。

 

古いマンションを建て替えるということは、過去の区分所有法の歪を整理する側面がでてきます。それらが、合意形成を複雑にしてしまうことが多々あります。


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「マンション建替え」の現場では、様々な問題に遭遇します。そんな中のひとつです。

 

建物の専有割合に対して、下図のように、土地も同様に建物の専有と同じ割合で共有しているものと考えます。現在のマンションでは、あたりまえのことです。でも、古いマンションですと、そうとは限りません。


    (専有面積割合)

 

1983年区分所有法改正(昭和58年5月21日法律第51号〔建物の区分所有等に関する法律及び不動産登記法の一部を改正する法律一条による改正〕)により、マンションの土地建物は一体的に登記されるようになりました。

 

この改正以前は、マンションの土地建物の権利移転が行われた場合には、土地と建物は別物であるということから、各々で移転登記をしていました。ということは、稀に、土地、建物が別々で処分されることがありました。

 

また、民法(250条)では、「各共有者の持分は、相等しいものと推定する」となっています。今では、考えられませんがこの法文に則り、建物の専有割合とは別に、土地については共有者全員が同じ割合で所有しているものもあります。

 

      (土地の持分は等しい)

 

つもり、1983年以前のマンションには、

1)マンションの土地、建物で所有者が違う

2)土地・建物と持分が違う

ということがあります。

 

「マンション建替え」を実施する前までは、これらの問題は問題となることがありません。日々暮らしているとき、貸すとき、売却するときは、問題になりません。しかし、マンションを“解体”するとき、したときは、建物のみの所有者の場合はマンションの権利がまったくなくなります。

 

マンションの建替え時においては,従前の建物を取り壊して再建することを前提としています。その際の従前資産評価は、建物の価値をゼロとし,正味の土地の価値(更地価格マイナス建物解体費用)を従前資産総額とします。従前資産総額が土地の価値のみであるとするならば,各権利者への配分は登記上の土地共有持分によるのが原則となってしまいます。

 

1)の場合、建物所有者の評価をどのように扱うかが問題となります。扱い方によっては、建物権利者の賛同は得られなくなります。

 

2)の場合

 A  ACの専有面積の2倍の大きさ

   そもそもの購入価格が違う

 C  Cは長年にわたり、土地の固定資産税をAと同額払っている


基本的には、評価配分を同等とするか、差をつけるかの問題です。土地権利割合の原則を堅持しつつ、Aの意見を少し、加味して決着を図っていくということになります。

 

ただ、(1)、(2)の場合とも、決着を図るプロセスを間違ってしまうと、“建替え”等の事業の進捗を危ういものにしてしまうぐらいの爆弾であるとも言えます。

 

いずれにしても、関係権利者とのコミュニケーションを充実させることと、不動産鑑定士を入れるなどのしっかりした対応が必要となってきます。

 

建物の再建は歪な権利関係を、すっきりとしたものにしなければなりません。それらの整理が合意形成を難しいものにしています。

 

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